社会保険労務士（社労士）は、労働や社会保険に関する専門的な知識を持ち、企業や個人に対して労務管理や社会保険の相談・支援を行う専門家です。この資格は、日本国内で労働法規や社会保険制度に関する専門的な知識を持つことを証明し、企業の労務管理や労働問題の解決に貢献することが求められます。社会保険労務士試験は、一次試験と二次試験（実務試験）の二部構成で行われます。

一次試験の概要
一次試験は、社会保険労務士として必要な基礎的な知識を評価する筆記試験です。主に以下の内容が含まれます：

労働法規: 労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法など、労働に関する法律や規制の知識が求められます。労働時間や賃金、労働条件に関する知識が含まれます。
社会保険制度: 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの社会保険制度に関する知識が必要です。保険の加入要件や給付内容、手続き方法について理解することが求められます。
人事・労務管理: 人事労務管理に関する基本的な知識や、給与計算、労働契約の締結・管理、労働トラブルの対応方法についての知識が問われます。
年金制度: 公的年金制度や私的年金制度に関する知識が含まれ、年金に関する相談や手続きの対応能力が評価されます。
二次試験（実務試験）の概要
二次試験は、実務能力を評価する試験で、主に以下の内容が含まれます：

事例問題: 労務管理や社会保険に関する具体的な事例問題が出題され、実際の業務に即した問題解決能力が求められます。例えば、労働契約の問題や社会保険の手続きに関するケーススタディが含まれることがあります。
計算問題: 社会保険料や給与計算に関する計算問題が出題され、正確な計算能力が求められます。保険料の計算や労働時間の計算などが含まれます。
書類作成: 労働契約書や社会保険の申請書類など、実際に業務で扱う書類の作成能力が評価されます。正確な書類作成と手続きの知識が求められます。
資格取得の意義
社会保険労務士資格を取得することで、以下のような意義があります：

専門性の証明: 労働法規や社会保険制度に関する専門的な知識を持ち、企業や個人に対して正確なアドバイスができることを証明します。
キャリアの向上: 社会保険労務士としての資格を持つことで、労務管理や社会保険に関する専門家としての地位を確立し、キャリアの向上につながります。
企業のサポート: 企業に対して労務管理や社会保険の相談を行い、適切な対応策を提案することで、企業の労務問題の解決や法令遵守を支援することができます。
試験の準備
社会保険労務士試験の準備としては、以下の方法が推奨されます：

専門書の学習: 社会保険労務士試験に対応した参考書や問題集を使用して、基礎知識と実務能力を養うことが重要です。
過去問題の分析: 過去の試験問題を解くことで、出題傾向や試験の形式を把握し、効果的な対策を立てることができます。
模擬試験の実施: 模擬試験を受けることで、試験の実施感覚を養い、時間配分や問題解決のスキルを向上させることができます。
実務経験の活用: 実際の業務での経験を活用し、実務に基づく問題解決能力を高めることが有効です。
終わりに
社会保険労務士試験は、労働や社会保険に関する深い知識と実務能力を測るための試験であり、社会保険労務士としての専門性を証明するために重要な資格です。この資格を取得することで、企業や個人に対して労務管理や社会保険の相談・支援を行う専門家としてのキャリアを築くことができ、より高い専門性を持って業界に貢献することができます。

合格基準点は、「選択式試験」および「択一式試験」のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定めます。各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は、不合格となります。合格基準点は、合格発表日に公表されます。

■2023年の合格基準
次の2つの条件を満たした場合に合格となります。

選択式試験は、総得点26点以上／40点（60%）、かつ各科目が3点以上／5点である者。
択一式試験は、総得点45点以上／70点（64.3%）、かつ各科目4点以上／10点である者。
■2022年の合格基準
次の2つの条件を満たした場合に合格となります。

選択式試験は、総得点27点以上／40点（67.5%）、かつ各科目が3点以上／5点
択一式試験は、総得点44点以上／70点（62.9%）、かつ各科目4点以上／10点である者。