木造建築士は、日本において木造建築の設計と施工に特化した国家資格を持つ専門職です。特に、木造建築は日本の伝統的な建築様式であり、自然素材である木を使用した環境に優しい設計が求められます。木造建築士の資格を取得するためには、木造建築士試験を通過する必要があり、その中で「設計製図試験」は、受験者が木造建築の設計能力や創造性を評価される重要な試験です。
試験の目的と概要
木造建築士の設計製図試験は、木造建築に関する専門知識と実践的な設計能力を測るために行われます。この試験では、与えられた設計課題に基づき、受験者は独自の設計コンセプトを提案し、それを図面や模型で表現することが求められます。試験は、受験者が実際の木造建築プロジェクトの設計プロセスを理解し、実践的なスキルを持っているかどうかを確認する場として位置づけられています。
設計製図試験は通常、2日間にわたって実施され、初日に設計課題が発表されます。受験者はその後、図面や設計説明書を作成し、最終日に提出します。設計製図試験では、図面の完成度、設計意図の明確さ、法令遵守、施工性、経済性などが重要視されます。
試験の内容と評価基準
設計製図試験の内容は、毎年異なる設計課題が設定されるため、受験者は幅広い知識と柔軟な発想力を持つことが求められます。以下は、一般的な評価基準や出題内容の例です。
設計コンセプト
受験者は、与えられたテーマに基づいて独自の設計コンセプトを設定します。このコンセプトは、機能性、美しさ、持続可能性、地域性など、様々な要素を考慮しなければなりません。
図面作成
受験者は、平面図、立面図、断面図、詳細図など、複数の図面を作成します。これらの図面は、設計意図を明確に表現し、読み手が理解できるものでなければなりません。
法令遵守
設計が関連する法令や規制に従っているかが重要な評価ポイントです。建築基準法や消防法、環境関連法令などに適合した設計である必要があります。
施工性と経済性
提案された設計が実際に施工可能かどうか、またコストが適切であるかも評価されます。過剰な装飾や非現実的な要素は減点対象となることがあります。
プレゼンテーション
設計意図やコンセプトを説明するための資料も重要です。口頭発表や設計説明書において、自分の設計をわかりやすく伝える能力が求められます。
■学科の試験
各問題1点とし、各学科25点満点、合計100点満点中、各科目および総得点の合格基準点以上の得点の者を合格とします。
2024年度
学科I(建築計画):13点
学科II(建築法規):13点
学科III(建築構造):12点
学科IV(建築施工):13点
総得点:60点
2023年度
学科I(建築計画):13点
学科II(建築法規):13点
学科III(建築構造):14点
学科IV(建築施工):13点
総得点:60点
■設計製図の試験
与えられた内容および条件を充たす建築物を計画し、設計する知識および技能について設計図書等の作成を求めて行うことを目的とし、以下の採点のポイントにおいてランクI~IVまでの4段階に判定し、ランクIを合格とします。
採点のポイント
設計課題の特色に応じた計画
計画一般(敷地の有効利用、配置計画、動線計画、設備計画、各室の計画等)
構造に対する理解
架構計画
断面に関する知識
要求図書の表現
設計条件・要求図書に対する重大な不適合